人的資本理論を調べました!

気が向いたので、久しぶりに人的資本理論をおさらいしつつ文献チェックをしました。

大学院では政策科学を選択し、研究者の賃金を修論のテーマにしました。大学院時代にシュルツやベッカーを読み、特にベッカーの「人的資本 教育を中心とした理論的・経験的分析」(ゲーリー・ベッカー (著), 佐野陽子(翻訳), 1976)に興味を持ちました。

その後、時間が経ちましたが、今でも経済学の成長理論において人的資本理論が重要な役割を果たしてることを意識し、そのうち研究動向を調べてみたいと思っていました。

さて、そんな感じで文献チックをつらつらした中で特に興味を惹かれたのが、OECD経済局のWorking Papers No. 1575でタイトルは「A new macroeconomic measure of human capital with strong empirical links to productivity」で、 2019年11月の公表です。生産性への実証的な統合を図る人的資本のマクロ経済的計測手法について、新たに提案するものです。

それほど厚い資料ではなく、目は通せました。人的資本の計測に教育投資効果・リターンを用いることが新しいようです。付属資料の中で、従来の手法と今回の手法による世界ランキングが示されており、日本は双方世界で四位でした。新しい手法では世界一位はドイツで、オーストラリア、イスラエル、日本が続きます。米国は十位です。GDP par Capitaと同様に国民一人当たり換算です。

もう一点興味を持ったのが、教育段階別のリターンであり、小学校、中・高等学校、大学の中で、大学と小学校のリターンが高く、中・高等学校のリターンが際立って低い点です。また、先進国よりも後進国の方が大学のリターンが大きくなっています。

世界最大のシンクタンクともいえるOECDは、第一級の専門家を揃えて調査研究を行い、Working Papersとしても成果を公表しています。なかなか手が回りませんが、今後も学習や教育に役立つ情報をコツコツと集めていきたいと思います。以下、Working Papers No. 1575のリンクを貼ります。リンクを貼ることは認められています。

A new macroeconomic measure of human capital with strong empirical links to productivity | READ online (oecd-ilibrary.org)

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